お知らせ

他県からお出でになった方からのお手紙

 

 先月末に女1人旅を決行した。前日の夜は、もうウキウキしてろくすっぽ眠れなかった。自宅出発は、6 : 30。そそくさと用意を終え、後は出発時刻を待つだけであった。そんな朝の 6時。1通のラインが届いた。私は、『きっと、やっちゃんからだ』と確信し、『モーニングラインか?ちゃんと起きてるでいよ』と思ってラインを開けたみた。何とそこには、『ほんまに、ごめん。仕事で欠員が出て、今日、出勤する事になってん(涙)』と書かれていた。私は、『あ~、ほんまに残念や』と思ったが、私も約束をしても、急な用事が出来たりしてドタキャンする事は、しょっちゅうある。お互い様だし、やっちゃんの気持ちを思ったら、『又、行こうね』とラインしていた。さて、それからだ。『今から家着に着替えて、1日過ごすのもなあ?』と思い、思い切って予定通りに出掛けたのである。日生まで、『カキオコ』を食べに。

 JR大阪駅で8時前の新快速の姫路行きに乗車。1人旅に欠かせないのが、小説。現在、同僚に勧められた『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる最中。読み進めているうちに列車は、姫路に到着。姫路で山陽本線の播州赤穂行きに乗り換え。播州赤穂に着くと今度は、赤穂線の総社行きに乗り換える。4つ目の駅が、日生である。無事に日生駅に到着したが、駅の改札でPiTaPaが使えなかったのである。改札前には、百葉箱を思わせる木箱が設置。『ここに運賃を入れて下さい』と書かれている。大阪駅から日生までは、¥2310だが、100円玉が無かった私は、¥2510を投入して無事に改札口を通る。駅すぐ横の備前観光協会でカキオコマップをちょうだいする。本日は、水曜日。現在時刻は、10:30過ぎ。この条件で開店している1番近いお店は・・・。マップで調べると、『お好み焼き安良田』さんが、目に留まる。土地勘の無い私が、あちこち歩き回って今日の目的が未達成になるのは避けたい。今日の目的は、カキオコを食べること。たが、真の目的は、お義母さんに殻付き牡蠣を贈る事である。

 前日、主人に話していた。『Tさん、お義母さん、牡蠣が好きだから明日、日生から牡蠣を送ろうと思ってるねん。でも、もしお店が閉まってたりしたらあかんから、お義母さんにこの事は内緒にしておいてね』と。そう、水曜日の日生は、五味の市は、お休みなのである。私は、五味の市の近くの日生町漁協できっと目的は、達成出来るはずと、考えていた。

 安良田さんのお店の入り口には、ちょっと面白い事が書いてあった。それは、安良田さんに行った時のお愉しみ。今は、私の胸に秘めておく。『こんにちわ』と挨拶をして、暖簾をくぐる。 こじんまりとしたお店。大きな鉄板の前には、ぐるりとお客さんが囲っている。私もその中に、お邪魔する。カキオコを注文し、黙って鉄板の前に座っているが、私の内面は、もう子どものように、はしゃぎまくっている。焼き上がったカキオコを黙って食べていると、ママさんが、『今日のお客さんは、静かですね』と、皆様方に声を掛けている。いつの間にか私も、ママさん達の話に参戦し、お店は賑わっている。そんな中、カキオコを食べ終わった私は、あるお品が非常に気になっている。入店し、お品書きを見てからだ。カキオコを食べたお腹。もう1品入るか心配。だが、やっちゃんの声が聞こえて来た。『私は、カキオコの大盛りが食べたい』と。『そうだ、しょっちゅうこれるとこじゃない。牡蠣を堪能しよう』と決めて、まずはママさんに聞いてみた。『ママさん、オッパイ焼きって何ですか?』と。牡蠣とネギを鉄板で焼きます』と、教えてくれた。私は、『めっちゃ美味しそう~』と思って、そのオッパイ焼きを注文した。ゴロゴロ大きなネギに、粒の大きなプリップリッのジューシーな牡蠣。焼き上がると、隣りのお兄さんが、『写真、良いですか?』と、オッパイ焼きを撮影。私は、お兄さんに、『お1つどうですか?』と勧めたのだが、お兄さんは遠慮された。ママさんの妹さんが、レモンペッパーを勧めてくれた。試した私は、『このままの方が美味しいです』と感想を述べると、妹さんは、『好みの間題や』と、豪快に話してくれた。『お姉さん、どこから来ているの?』『兵庫県の川西からです』等と、話は盛り上がって行くが、13 : 24の電車に乗車する私には、あまりお店でゆっくりしている時間は、無い。ママさんに牡蠣を送れるお店は、無いかを教えて頂く。漁協を教えて頂き、安良田さんを後にする。

 潮風に吹かれながら、日生港を右手に見て歩く。漁協が分から無かった私は、リフトの操作が終わったお兄さんに、尋ねてみた。『あのクレーンの下ですよ』と、親切に教えて頂く。直ぐに漁協に着くと、溢れんばかりの殻付き牡蠣が所狭しと並んでいる。良く分からない私は、お店のお兄さんに聞いてみた。『すみません。家族5人で食べるなら、どのくらい買ったら良いですか?』と。確か、『雅彦』と書かれた椅子に座っていたお兄さんは、丁寧に教えてくれた。『半カン5kg程なら、もう充分です』と。半カンとは、一斗缶の半分を意味するとも教えてくれた。クロネコの宅配伝票に記入を終えると、雅彦お兄さんは、直ぐに私の苗字を覚えて、私を呼んでくれた。『奥まで見せてもらっても、良いですか?』と聞くと、『どうぞ。どうぞ』と、勧めてくれた。あまり奥まで行ってはと、引き帰す。漁協を後にしようとすると、雅彦お兄さんが、『焼き上がったので、どうぞ』と殻付き焼き牡蠣を勧めてくれた。私は、美味しい磯の香りに、ついつい遠慮も忘れパクパクと食べていた。帰りポプラで、キビ団子と実家へのお土産を購入した。この時点で時計は、12時を過ぎていた。日生駅をこの目で確認してから、珈琲を飲んで帰ろうと思い、日生町漁協を後にした。日生駅への道すがら、お洒落な珈琲ショップ等を確認した。無事に日生駅に着いたが、近くの珈琲ショップは、閉店や定休日であった。お洒落な珈琲ショップまで戻る時間は、無いと判断する。備前観光協会の横のお店に顔を出し、『珈琲だけでも良いですか?』と尋ねると、2階の休憩室を教えてくれた。2階の休憩室で、靴を脱ぎ足を伸ばす。この時点で、もう歩数は1万歩を超えていた。安良田さんでPiTaPaの話をしたことを思い出し、帰りは、切符を忘れずに買うと自分に言い聞かせた。

 無事に13:24発の播州赤穂行きに乗車。山陽本線に乗り換えてからだった。途中、列車同十の待ち合わせが送れ、姫路からの新快速乗車が予定より少し遅れてしまった。『日生で1本早い電車に乗ってて良かった』と安堵する。行きしな、帰りは、14 : 25発に乗ろうか少し迷った。だが、万が一、列車の遅延を考えて1本早い電車で帰ると決めていたのであった。16 : 30前に、何とか川西池田駅に到着。主人にお迎えをお願いして帰宅。牡蠣の宅配を頼んだ事をお義母さんと主人に伝える。牡蠣の到着は、私が日生で遊んだ次の月曜の夕方である。私は、お義母さんのちょっぴり、はにかむあの笑顔を楽しみに3/4(月)の牡蠣の来訪を待ち侘びているのであった。

 このエピソードを書き終えるとスマホのニュースで日生の牡蠣が、牡蠣グランプリで優勝したと掲載されていたのを発見した。そして、何とNHKのその画面には、あの雅彦お兄さんが!アマモでの環境保全に取り組まれている事などを話されていた。

 私は、日生の牡蠣がグランプリで優勝した事が、何故か自分の事のように非常に嬉しくなった。そして、雅彦お兄さん、安良田さん、日生カキオコまちづくりの会の皆様方にこのエピソードを読んで頂く頃、私達一家は、きっと日生の牡蠣を堪能していることでしょう。